いつからいつまで?つわりの原因と対処法を助産師が解説

妊娠がわかると嬉しい気持ちと同時に、多くのママを悩ませるのが「つわり」です。

吐き気や食欲不振、眠気などが続くと「いつまで続くの?」「赤ちゃんに影響はないの?」と不安になりますよね。

実は、つわりの始まる時期やピーク、終わり方は人によって大きく異なります。

原因も完全には解明されていませんが、妊娠に伴うホルモンの変化が大きく関係していると考えられています。

本記事では、助産師の視点からつわりの基本知識から時期やピーク、症状の種類、注意すべき「妊娠悪阻」、そして日常でできる対処法までをわかりやすく解説します。

妊娠中のママが安心して過ごすために参考になると思います。

つわりとは?

つわりは、妊娠初期に多くの女性が経験する不快な症状の総称です。
代表的なのは「吐き気・嘔吐・食欲不振」ですが、眠気やにおいへの敏感さなど、症状は幅広く、人によって大きく異なります。

実際には妊婦さんの 50〜80% がつわりを経験するとされますが、約5人に1人はほとんど症状がないか、ごく軽い症状で済むこともあります。
同じ人でも妊娠ごとに症状の強さが変わることもあります。

つまり、「つわりがひどいから赤ちゃんが元気」「つわりがないから妊娠が心配」という考え方は正しくありません。
個人差が非常に大きいため、症状の有無や強さで妊娠の経過を判断することはできないのです。

つわりの原因

医学的に完全には解明されていませんが、主な要因として以下が考えられています。

  • ホルモンの急激な変化
    特に「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」という妊娠ホルモンが関与。分泌量が増えると脳の吐き気を感じる部分を刺激します。
  • エストロゲン・プロゲステロンの増加
    子宮を妊娠維持モードにするホルモンで、自律神経の乱れや胃腸の働きを弱める要因に。
  • 体質や遺伝
    母親や姉妹に強いつわり経験があると、本人もなりやすい傾向があるといわれます。
  • ストレスや生活環境
    精神的・肉体的な負担が強いと症状が悪化することもあります。

つわりの時期とピーク

一般的な流れは以下の通りです。

  • 始まり:妊娠5週ごろから
  • ピーク:妊娠8〜10週ごろ
  • 落ち着く時期:妊娠12〜16週ごろ

ただし、これはあくまで平均的な目安。
妊娠4週から始まる人もいれば、20週ごろまで続く人もいます。
まれに出産直前まで症状が続くケースもあります。

また、妊娠後期に子宮が大きくなることで胃が圧迫され、吐き気や胸やけが出る「後期つわり」もあります。
こちらはホルモンではなく物理的な圧迫が原因です。

つわりの主な種類と症状

つわりにはいくつかのタイプがあり、人によって組み合わさって出ることもあります。

  • 吐きつわり
    食べても吐いてしまう。空腹時に強い吐き気を感じやすい。
  • 食べつわり
    空腹になると気持ち悪くなるため、常に何かを食べていたい。夜中に目が覚めることも。
  • においつわり
    炊飯器の匂い、揚げ物、香水、柔軟剤など、日常の匂いが急に耐えられなくなる。
  • よだれつわり
    唾液が過剰に分泌され、飲み込むのもつらい。ティッシュや袋を持ち歩く人もいる。
  • 眠りつわり
    強い眠気やだるさが続き、十分寝ても疲れがとれない。
助産師モカ
助産師モカ

自分のつわりのタイプを知ると対処法も見つけやすくなります。
“私はこれが苦手なんだな”と気づくだけでも心が軽くなりますよ。

重症化に注意!「妊娠悪阻(にんしんおそ)」とは

つわりがあまりにもひどく、水分や食事がほとんど取れない状態 を「妊娠悪阻(にんしんおそ)」と呼びます。

診断の目安は以下のようなものです。

  • 体重が急激に減る(妊娠前の5%以上)
  • 脱水症状(尿が出ない、口が乾く)
  • 電解質異常(体のバランスが崩れる)
  • 強い吐き気や嘔吐が続く
助産師モカ
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“我慢すれば大丈夫”と思い込む必要はありません。
つらいときは迷わず病院を頼ってください。

つわりを和らげる対処法

つわりを完全に防ぐことはできませんが、症状を和らげる工夫はできます。

食事の工夫

  • 少量をこまめに食べる(1日5〜6回でもOK)
  • 食べられるときに、食べられるものを食べる
  • 温かい料理より冷ましたもの、冷たいゼリーや果物がおすすめ
  • レモンや柑橘系の香りを取り入れる

水分補給

  • 一度にたくさんではなく、一口ずつこまめに
  • 水がだめならレモン水、炭酸水、スポーツドリンク、経口補水液、麦茶など工夫する

休息と気分転換

  • 疲労がつわりの症状を悪化させるため、無理せず体を休ませることを優先
  • マスクで匂い対策
  • 音楽や軽い散歩で気分転換

周囲のサポート

  • 家族に料理や掃除をお願いする
  • 職場では「母性健康管理指導事項連絡カード」で時短勤務、時差通勤、休業などの配慮を受けられる

医師のサポート

  • つわりがひどい場合、制吐剤(吐き気止め)、漢方薬、ビタミン点滴などを処方してもらえる
  • つわり用の市販薬は存在しないので、自己判断で市販薬を飲むのは避ける
助産師モカ
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“できることだけやればいい”と割り切るのがポイント。
無理をしないことが赤ちゃんにとっても一番です。

まとめ

つわりは妊娠初期に多くの女性が経験する症状で、その強さや期間には大きな個人差があります。
原因は主にホルモンの変化と考えられていますが、完全には解明されていません。

赤ちゃんには大きな影響が少ないとされていますが、ママの体調悪化は見逃せません。
食事・水分の工夫、十分な休息、周囲のサポートを取り入れながら、つらいときは無理せず医療機関に相談しましょう。

つわりは「ずっとは続かない」もの。
適切なケアをしながら乗り越えていくことが大切です。